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ムンドノーボぽこブヨ〜ダン活動報告SPぱふぉ 格闘記33その5......2010.12.14(12.21画像追加)

カザフスタン短期遠征編〜第8話(全5ページ、最終話)
カザフ最後の試練

劇場に入る。昨日から見えている方、職員、カザフ人形劇団員....は、「(ずど)ラーすとびちぇ」と、顔を合わせる度、挨拶してくれる。
でも、とっさに返せない。舌をかむ。むんどのーぼ...より難しい発音の言葉だ。(ずど)は小さく、ラーは大きく.....
司会者はぽこぶよーだん、の発音にはかなり苦労していた。「ばううよおおだん」表記と発音が1対1で対応しないのだよね。ま、お互いさまか....。

気がつくとホールには5カ国国旗、その中に日の丸がかかっていた.......俺らのことかい?日本代表?というわけではないが、そうなってしまうらしい。ま、そうだよな。

舞台裏は出演者がごったがえしていた。地元カザフ劇団は人数も多いし、着ぐるみ、ニンゲンよりでかい人形も登場。楽屋は共同使用。ドアもしめずに着替えたり、もう、どたばた状態。
すみっこに隠すように置いておいた我々の人形、道具、荷物の上や隙間にもカザフ人形が進出していた。居所がなく、ギターを引っ張り出して、ロビーで組み立て、チューニング。
10分とはいえ、好きにやってくれと言われていたので、とにかく、最小限だが、最大限の小部隊をいつスタンバイするか?とにかく、舞台袖も、バタバタだ。
4時開幕の直前に当日の進行のプロデューサーに挨拶、順番決定。ほとんど、トリ。他のもゆっくり見れないし、片付けも最後....。
カザフオープニング着ぐるみショー、少女の踊り、挨拶、キルギス、ビデオ紹介、挨拶、カザフ、キルギス、ロシア、ブルガリア、にっぽん、カザフエンディングショー......だった。
500席?はほぼ満席。オープニングは熱狂的に始まる。初めのキルギスまで客席後ろで観る。キルギスは民族弦楽器を弾きながら前に置いた机の上の小さな木の馬を踊らせる。
初めに中高生くらいの少女が右手、弦をはじく手にテグスを持って、演奏しながら動かす。関節フリーでよりリアルな動きができる。うちらとまったく同じ発想だあ。
さらに師匠格のおじさん?おじいさん?両足でペダル操作して二つの馬がジャンプアップして踊りだすのが加わる。いやああ、似たようなこと考える人はいるもんだ。
来年はタイコやハモニカのようなものを同時に操作してたりして.....歩いていたり.....(ないない)。なんか、空間を超えた親近感、シンクロニシティー?先祖は同じ?を感じられてうれしい。

劇場ロビーにゲル風人形ステージあり。その片隅でキルギスの方が 弦楽器演奏ピッキング動力式馬人形が踊る。 左キルギス、中カザフ、右ロシア

ブルガリアの次なので、ブルガリアの動きに注意する。大きな机のようなものの上に楽団....が袖でスタンバイ始める。へええ、これも人形音楽系?
昨日使った下手から出入りするようなので、我々は反対側の袖を使うことにする。通路が狭いが無理して移動。
袖の狭い空間は通路でもあり、人が出入りしたり増えていく。なんとか、リング付きミニパレード部隊をセットする。
アレレ隊長、もう少し前に出よ、という。僕はなんとなく、気が進まない。あまりいじりたくなかった。
でも、ま、逆らう理由もないので動かしたら....僕の靴が山車の車輪の動力伝達用ボルトの押さえゴムに接触。ゴムがすっとんでしまった。
薄暗い袖で黒幕カーテンがあり、その下に紛れ込んだか、部品が見つからない。仕方なく、楽屋にある部品からとって、持って来てつける。
エンディングの方々らしき人々がスタンバイしはじめて、もう少し後ろに下がってくれと言われて、また、元の位置まで戻る。もう、なにやってんだか.....。

ブルガリアが始まる。装備をつけなきゃ。あと10分くらいはあるかな?また、昨日のように紹介DVDでつないでくれるのかな?
袖が真っ暗になってしまう。うわっ見えナーイ。まじっすか〜?
今回のみ、僕の背中に和傘をとりつけて上にペンギンを歩かせて出ることにしていた。でないと、綱渡りで柱として使えないし。
この装着が慣れないし、ちょと難しかった。なにせ、ギターもタイコもハモニカもいつも通りフル装備だ。ちょうど大島さんが様子を見に来てくれた。
傘の上にペンギンを載せて欲しいと頼む。いきなりそれは無理だよね。はい。傘の先は僕の頭上1メートル。ひざまずいても大島さんの顔より高い位置?
その先端の8ミリ程の穴にペンギンを支持する針金を入れなければいけない.....練習も説明もなし、くらがりで....。大島さん、入れ損なってペンギンがはじかれるように落下。
首がとれちゃった。まあどうしましょ。この子は残念だが今回はあきらめる。ブルガリア、5分もやらずに終わる。おいおい早すぎだぞ。
「......やぽーにあ........ぱうくぉばううよおおだーん...」紹介されちゃった。前置きDVDは上映されなーい。

とにかく、この狭い暗がりではどうにもならない。舞台に出る。反対側スタンバイのアレレ隊長にもう一体のペンギンを渡し、傘につけてもらうように要請。
大島さんより要領は知っているが、背が低い....そうだ、狭かったので、まだ、傘を開いていなかった。閉じていてはペンギンは歩かない。うんとこどっこい、開いた。
なんとか、ペンギンは傘にのったらしい。背中の上のことなので僕には確証はないのだが.....アレレ隊長はOKを出す。はあああああしんど........。
クルミ割り人形、演奏すたーと。はたして、満席のお客様をどのくらい待たせ、無様な体(てい)をお見せしてしまったか.....。
ま、ちょっとは引いてしまったであろうことは否めないが、傘回しを終え...綱渡り。お客様に快くステージに上がってもらって支柱を支えてもらう。
いつものように、まず、綱渡り失敗、「ぱまぎーちぇ〜。(助けて〜)」ここで、お助けペンギンか、桜トラが駆けつけるはず、だったが.....あちゃあ、やっちゃったよ。
昨日終了後、しまっちゃってたことに気づく。どうしよう。これじゃ、綱渡り成功しないよな。お助け隊が重りになってこそ、綱渡りできるのだ。一瞬固まったと思う。
しかし、お助け隊を駆けつけさせる役のアレレは機転を利かせた。ギターに賑やか隊として付けていたムササビ君を急遽起用。初のコンビはなんとか綱渡りを完了。
「ほっ......」 まったく....リアルな綱渡りだぜい。ぽこブヨ〜ダンのスリル、リアリズムの真骨頂だったね。
舞台横にカザフ人形が出て来てなにか喋り始める。ええ?も一つ、メインを用意してあるんだけど.....
もう一回、というジェスチャーむなしく、カザフの人形司会はこちらを見ずに何かを喋ってる。ええーい、やるだけだ。

すこるにやぱ-もっしゅ(救急車)ぱじゃーるすた(お願い)おお、勇敢な少年が躊躇なく壇上に登場。 おおっと、ちゃんとブレーキかけましたな、やるのう、お主。

ロッくぃーのイントロ、リングスタンバイ、「ガルボーイウーゴル(青コーナー).......」タイトルマッチ、救急車を強引に?行う。
「よくきてくれた賞」の賞状をもらって退散。でも、出口が狭くてなかなか出られない.....。とりあえず楽屋に戻る。あ〜〜〜やっちゃった。まいったね、まったく.....。苦笑いだ。
楽屋はまだ、他の劇団の出入りがあり、ゆっくり片付け、梱包できる状態ではなかったし、さて、どういう順番でバラすかなあ、というところで......
楽屋にテレビの取材班がのりこんできた。ばらしをとりたい?ばらしながらインタビュウ?他の方々にも邪魔ではないか....。
あとで、大島さん、「よく取材をうけたねえ...」って....僕は大島さんが通訳してくれるから、大島さんに従っただけですってば....。
テレビが去って、狭い楽屋よりどこかいい場所に持って行って詰め込みしようと薄暗い舞台袖奥の道具置き場に移動。舞台はフィナーレのようだ。
そのうち、舞台が終わって、幕が引いた舞台上はまたいろいろなものが散らかっている。薄暗いが、その片隅に広がって、箱詰め。
いやああ、終わった終わった、緊張した、ぼろぼろだった、頭からっぽ、思考回路ゼロ、えへらえへら......
すると次々に人は去り、パーティー会場に移動してしまった。最後にもくもくと我々。係の人が、それは後にして飯を食いに行けという。
うちらは今日の26時(明日未明2時)出発だから、後回しはできーん。
1時間強?で、なんとか、梱包。もう、壊れたっていいからかなりいいかげんパッキング。一箱、空箱に近いお土産用のを持って行って良かった。それにも一応フルに。
車にどんどん積み込んでもらう。

パンフレット。なぜ牛シンバルを選んだのか?右はブルガリア。 英語の参加修了証書

パーティー会場は近かったが、道路は路上駐車満杯で停めるとこない。近所の工場?に突入。帰ろうとする守衛にハーリックさんごり押しして駐車OK。

いやあ、パーティーはすでに佳境。あいやあ、しかし、よかったよかった。ばりしょえすぱしーば、ハーリックさん、ロマさん、ロマ奥さん、大島さん、劇場長?さん.....。ウオッカで乾杯。
挨拶して...飲んで....そのうちディスコ大会?ま、うちらも舞踊団だ、踊りますぜ〜。(ちょとだけよ〜、調子に乗るのは危険。これから一仕事なんだし)
アジア系だけど、足が長くて踊りがいい動きしている娘がいたなあ....はらしょ〜。
ロシア勢は明日6時発で早いからと、先に撤収。うちらの方が早いけど。ハーリックさんたちはまた夜通し空港往復なんですねえ....。

短い間だったけど、やはり、身内同然の歓迎をしてくれる人がいると、違います。日付が変わる頃、空港到着。大島3兄弟に感謝感激有難し。濃い時間だったなあ。また会いましょう。
アレレ隊長も今までで一番楽しかったとのたもうておりました。

帰国後、負傷したダンサー達の傷は意外と浅く、半日も入院しませんでした。しばらくは疲れが出て、また皆さんをはらはらさせることでしょう。(いつものことですが.....)

実現、無事帰還できるのか、最後まで不安がつきまといましたが、おかげさまで、ほとんど予定通り(予定が不明な部分が多々ありましたが)の日程で帰還できてしまいました。
至らないところも多々ありましたが、今までの人生最大級の成功かもしれません。すべての関わり合いに、人に、物に、地球に感謝です。
来年はもっと、多くの場所で連続公演を、というお話もしていただきまして.....うれしいですが、また、命がけ?かと思うと身震いしてしまいます。

帰国翌日の大島さんのメルマガより転載します。

「2泊4日という強行スケジュールでしたが、またふたりのサーカス兄弟と熱く濃い時間を共にすることができました。
そしてなによりうれしかったのは、今回アルマトゥイ国立人形劇場創立75周年を記念して開かれた国際人形劇フェスティバルに出演した「ムンドノーボポコブヨ〜ダン」の公演が熱狂的に現地の人たちに受け入れられたことです。
いずれデラシネ通信の方で詳しく紹介しますが、小さな子供たちやおじいちゃん、おばあちゃんまで本当に大喜びしているのを目の当たりにして、こっちまで感動してしまいました。」

大島さんのデラシネ日記はこちらをクリックして下さい。むんぽこ談とは違う視点なのでおもしろいかも。

長生きするものです。これにて一件落着。(全5ページ、8話連続....これにて完結ゴクロウサマ、読んでいただきありがとうございます)

輪になって踊る打ち上げ。奥の額の広い変な頭が俺。 帰国時にはボロボロのバッグもありましたがなんとかセーフ
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