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ムンドノーボぽこブヨ~ダン2015.1.10

12/23(火祝)2時、山武市文化会館のぎくプラザ視聴覚室にて
音楽人形活劇「珍くるみ割り人形ペガサーカス」上演。ほぼ全編チャイコフスキーです。
飯田に続き二度目の上演になる作品ですが、55分の長作になってしまったのでなるべく短くしようと挑戦し約45分にしています。

数日前からの風邪や前々日の仕込み日の腰痛発生など、10年目にして初のキャンセルもよぎりましたが、まさにクリスマスの奇跡。
お客様もほぼ満員で、無事終えることができました。神に感謝。

ぽこ団長の制作小話


この作品は普通の人形劇ではありません。
等身大に近い人形を使いつつ人間も演劇する、人形演劇というジャンルがありますが、それとも違います。
さらに音楽生演奏も同時に行う、新曲芸というか、世にも珍しい混ぜ合わせ劇でございます。
45分、全身全霊、全力疾走に近い消耗戦、物量作戦にさあさあお立ち会い~。

人形制作、脚本、演出、照明、音楽、運搬…ぽこ団長
広報デザイン、背景美術、衣装、リコーダー…アレレ隊長

開始前。スポット点灯。 カーテンが上がってはじまりはじまり LEDの電飾は目立たないですね。

原点、そして10年のまとめ

ムンドノーボ(新世界….ポルトガル語)というサンバ風の小さなバンドでオリジナル曲の自主CDを作ったのが1999年。
(2014年にその音源の一曲「僕は何処へでも行くだろう」がある舞台公演に使われました。)
その後、一人でバンドの音を出すべく、足で太鼓を、メロディーはハモニカを、リズム、コードはベース弦つきギターを同時に使うことを開発。
さらに人形の踊り手を踊らせた一人サンバパレードを創作。
アレレヨーコのリコーダーと共に二人編成で2004年に東京都の大道芸免許へブンアーティストになり、パフォーマーとしての活動やサーカス関係者との出会いの日々のうちに10年が過ぎました。

さて、なぜ今、くるみ割人形か?
サンリオの昔の人形劇映画の復活?舞台?にあやかろうとした…わけでもありません。
ブームが来て、少しでもくるみ割人形がメジャーになれば、こちらも波に乗れるかと思いきや…。

この十年、ぽこブヨ~ダンの音楽はなんちゃってクラシックを多くやってきました。
ロックやビートルズも好きだし、オリジナルもありますが、比較的、著作権とかのしばりもなく、いろんな年代の多くの人の親しみ、耳覚えのある曲が道行く人の関心や楽しみを持たせるのでは?
と言えばかっこいいですが音楽歴はド素人で、クラシックの曲を一人バンド式でやればちょと目立つ?自慢できるかな?という下心もありありです。

なぜか...くるみ割人形の写真が全くないジャケット..... 若きカラヤン大先生。たぶん50年くらい前のレコード。

ものごころついた時、うちにあった父母のレコードの中の、新世界やカラヤン指揮のくるみ割り人形の組曲が好きでした。
音楽の原点であり、人形作り、人形パフォーマーとしていつかやりたい、と思っていました。チャイコフスキートリビュート版です。

僕が生まれた頃父が買ったステレオと全くの同型。 船橋の飛ノ台史跡公園博物館で特別展示されてました。

ストーリーについて

くるみ割人形の楽曲をストーリーに合わせておもしろくできないか?
しかし、原作どうりではおもしろくないし、バレエ音楽だと、前半は最初の序曲、行進曲以外、知られていない曲が多いのです。

日本ではくるみ割人形のお話、原作はあまり知られていません。読んでみても…まあ、おもしろく感じられない人もいるかも。
バレエでも、アンナパブロワは「感情表現があまりできず、曲はすばらしいが、踊るおもしろさが少ない….」
というようなことを言っているのをテレビで見たことがあります。

バレエ版の話をかいつまむと……少女クララはクリスマスプレゼントのくるみ割人形を気に入る。その晩、寝ていると、七つ頭のネズミを筆頭にしたネズミ軍と、くるみ割人形を筆頭におかしを武器にするおもちゃ兵とが戦いを始める。
人形サイズに小さくなったクララはくるみ割人形の危機にスリッパを投げつけて助け、ネズミ軍は敗退。
くるみ割人形は実は元は王子で、ネズミの呪いで醜いくるみ割人形に変身させられていたが、クララの愛?で人間の姿に戻る。
お礼にお菓子の国への旅にクララを連れて行く。そこではいろんな国のお菓子の歓迎の踊りが披露される。
原作はもう少し伏線や伝説の話などが加わります。

ネズミの支配する世界の為の戦士ネズレンジャー軍団

曲はアラビア、ロシア、中国、スペイン、など、いろんな国の踊りの曲が出てきて世界旅行をイメージさせます。
ホフマンの原作ではお菓子やお茶の本場?原産国としての世界観のようですが….
昨年から世界旅行もの?でシナリオを作り始めるもどうも無理があり、半年断念。
しかし、ある友人がロバの音楽座との共演ライブを見た感想で、「毒がない」っと、言ってくれて「気持ち」が入るドラマを作るきっかけとなりました。

7つ頭のマウゼリンクスキングセブン 左右可動式2ローターのメスプレイの悪魔の翼で自在に空を飛ぶ

まず、一番身近で関心のある原発事故、原発災害を敵として設定。
東北にはゆかりがあり、何度か支援行動もして線量の高い地域も通行したり、2013年には福島原発が見えるところまで行きました。
アレレヨーコは牛好きで、双葉町の希望の牧場のHPの牛の中継を毎日見ていました。
ドラマのはじめが浮かびました。まずはネズミが大量発生して原発周辺を封鎖、電気系統を噛み切ってブラックアウト。
原作でも敵はネズミ。そして最後に…牛も豚も羽が生えて空に飛んでいく。
ただしこの深刻な事故をネタとするのは細心の注意が必要です。あくまで、くるみ割り人形、ファンタジーというか、エンターテイメントなので、子どもにトラウマを持たせるのはNG。

主役抜擢ペガハチ。8番目の末弟。

2014年は午年で、ぽこブヨ~ダンの主役はペガサスと決まっていました。そして、2013年、豚とのご縁があり、羽のある豚、ペガブーが誕生…。
そしてパレード以外の固定ネタとして毎年、キャラをかえつつ、少しづつ進化してきたサーカス人形部隊がそのまま、あまることなくドラマの流れの中にはまったのでした。

2004年、ヘブンアーティスト審査の際、審査員をしていた(今年まで継続)西田敬一氏は海外サーカス招聘会社社長であり、群馬県のNPO国際サーカス学校の校長でもあります。
そのご縁で人形の展覧会などもやらせていただき、そこで、来場者が自分で動かす人形たちのからくり?サーカスが始まりました。
おかげでタイやカザフスタンにも行くことができました。

サーカスという言葉は円のサークル、に似ている?と思ったら、コロシアムとか、円形劇場から来た言葉だそうです。
馬などが回ったり、テントを建てるのにも円形は理想的?
旅回りの公演もサーカスのイメージです。
バイクのWGPはコンチネンタルサーカスと呼ぶそうです。
旅して世界を回り、帰ってくる、ということで、曲芸も込みで「ペガサーカス」。
(夏の初回版では、これに「走れメロス」をかけて主役のペガサス君は「ペガメロス」としましたが、話が長くなったので今回はカット。)

奇しくもアジアのキー国家を巡る旅。
東のとある国は隣国の中の国、ロの国、アララビアの国と強いつながりを持ち、エネルギーや軍事他、微妙なかけひき、バランスの関係にあります。
マッハ15で宇宙を回る21世紀、まるで綱渡りの科学技術、まさにスリリング、世界はサーカスです。
これでいいのかなあ…ちょとこわいお話です。
この世界サーカス、キャストは僕ら…。

曲について

曲はオーケストラ版の主なメロディーを抽出し、ハモニカ、リコーダー用に転調。
他の部分をギターのコード、リズムで転用、代用し、合わせてマラカス風のBB弾ケースがにぎやかし、太鼓はサンバ風の二拍子。
なるべく、おいしいメロディーを壊さず、かつ、短く、という方向ですべてワタクシ、団長がオリジナルアレンジしています。

一曲目は序曲です。バレエでは幕が上がる前に演奏されます。
原曲は巧みな転調があり、編曲、C調への転調、短くするのに苦労しました。
弦ものの曲なので、ピアノ版もあまり見当たりませんでした。
ちょと強引なところもありますが、エッセンスはつめこんだつもりです。
こちらではペガママと兄貴(ペガジ、ペガぞう)の登場に使っています。

まずはママが顔を出します。 兄貴ペガジ、ペガゾウ登場。パーティー準備に会場を駆け回ります。 くるくる回っててんてこ舞い。このあとマッハ15で南米に旅立ちます。

二曲目は葦笛の踊り。原曲はくりかえしと変化形の多い長い曲です。割と楽に、ほぼそのままでのバージョンもできますが、今回は半分以下に。
ペガブーとペガはちの皿回しをしながらの曲芸演奏です。
後半に別の部分が出てきます。

友達のペガブーが回りながら飛んできました。 ペガハチも高く上がってお出迎えです。

三曲目は行進曲。くるみ割人形の組曲に挑戦し、初めて形になった曲です。
途中の早い短調の部分は危険から退避する部分にあてました。

行進曲はお客様達到来のパレード。 ギターケース車などにいろんな動物たちが乗っています。
ネズレンジャーが呪いのグレイ線を出す青白く光る石を送りつけてきて... 皆、クリスマス会場から退避して場面転換。

四曲目は、曲というほどではありませんが、驚きと絶望のジングルというか、効果音としておきまりの、チャイコフスキーではありませんが、トッカータの一節。

するとペガブーが灰色に..石化 ペガハチの兄、長兄ペガタローが救急隊で搬送。 一瞬しか出ませんが...ペガゼブラはアフリカに..

5曲目も短いつなぎです。中の国への道程、場面転換のフレーズ。バレエ版、一幕、二幕の幕間や、おかしの国への旅立ちの曲です。

中の国の背景に転換。

6曲目は中の国到着、中国の踊り。

中の国の赤い竜チーロンはクラカトゥークの金のクルミを所持。 しかし象が踏んでも壊れない 息子ジュニアが新型超合金くるみ割人形のチラシを見せる。

7曲目はつなぎです。露の国へ。バレエ版では雪の精の場面で合唱つきのところのメロディーです。

寒い露の国。

8曲目はロシアの踊り、トレパック。バレエではコサックダンスなので、ぺがブラザースのラインダンスと酔っぱらいの熊の踊りをあてました。
転調や半音が多く、編曲、演奏はやや苦戦。原曲Gのまま、長さもほぼ一緒です。

クマのメンドーベージェフは酒瓶を持って踊る。 ペガ四郎、ペガ五郎、ペガ六、ペガ七のラインダンス。

9曲目はつなぎで、バレエでは前半の舞踏会の曲のメロディーですが、素朴メロディーのくりかえしです。

アララビアの国へ。

10曲目はアラビアの踊り。どこかのバレエ団でもコブラの女の踊りになっていましたが、ぽこ版では2013年の蛇年デビューの白いコブラが踊ります。元は結構長くジャズ風?の繰り返しつつ転調したり、いろんなメロディーが絡みあう曲なので、代表的展開は活かしつつ惜しくも三分の一はカット。

シロコブーラはカゴから登場。 決死の舞で頼み込むペがハチ。

11曲目はくるみ割人形を携えて海を越えて戻るペガはちの帰路の曲に、葦笛の中間部を使いました。マイナーメロディーの4回くりかえしです。

いざ、ペガブーの待つ東の国へ。

12曲目はダウンしたペガはちの夢に話しかけるくるみ割人形のバックで流れるこんぺいとうの踊り。語りのバックなので音は生音で小さくしています。

超合金の口はカスタネット。

13曲目は傘の上でマウゼリンクスキングから逃げるペガエイトの場面。バレエ版ジゴーニュおばさんの踊りという曲。バレエ版でも使われないことも多く、知られていないのですが…
オッフェンバックの天国と地獄(運動会の曲)と似ているので、こちらも一部混ぜました。調べるとオッフェンバックの方がやや古い。これはチャイコフスキーの方が影響を受けた可能性も。

クルミ割人形と合体、ナットクラッカーペガエイトに。 亀とコブラも加わって追いかけっこ。

14曲目は綱渡りの場面。チョコレート(スペイン)の踊り。三拍子、フラメンコ風の曲ですがほのぼの優雅で活動的でおちゃめな感じなので。

再び登場の亀君が助けてくれて綱渡り

15曲目、最後の戦い、ボクシング。少しロッキーのイントロ入り。バレエ版、前半のパーティーでドロッセルマイヤーが子ども達にプレゼントをあげるシーンで、ピエロの自動人形がアクロバットに踊るシーンに使われていた曲。バレエ団によっては剣を持った舞としているところもあった。
バレエ版のネズミとの戦闘シーンの曲は効果音的というか、メロディーのとらえどころが難しいため不採用。くるみ割人形の楽曲中、他に激しいマイナー系の戦いシーンにあった曲がなかった。

リングで決着をつける戦い。 最後に立っていたのは銀の超合金の口のナットクラッカーペガエイト

16曲目、ペガブーが金のクルミの中身を食べて復活に至るツナギのメロディーはやはり、バレエ版の大団円の始まりに使われていたような……

300と65分以内にクラカトゥークの金のクルミを割って... 中のコスモクルーミーDを食べたペガブーは.... 元に戻った〜。ペガエイトは7歩後ろに下がり変身を解く...

17曲目、大きくなったペガエイト、ペガブーの舞、花のワルツ。元は10分近い長い曲で繰り返しも多いため、半分以下に切り詰めたものの4分くらいの大曲。
明るく印象的旋律、10年前くらいに、やりたい曲としてチャレンジ。しかし、複雑な展開、たくさんのおいしいメロディー、転調に断念。
転調がないと、うまくつながらないチャイコマジック。ほとんど同じメロディーラインだけど、最後だけ違って、別の展開に行ったりするので、重複する繰り返しがカットできないなど、編曲に苦戦。印象的旋律がてんこもりで、やりたい、捨てられない…..。
ギターの簡単な和音では置き換えられない交響楽的和音というか、複数の旋律などアレンジが難しく、乱暴というか、ごまかしてごめんなさい、というところもあります。

1年後、ペガエイトの歯は元に戻らず....ペガブーは成長が止まらず... でも、まあ、メデタシめでたし。

さて、今取り組んでいる曲はチャイコフスキー交響曲5番の4楽章です。10分以上を4分ほどにアレンジしました。まだ、どこでどのように発表するか未定ですが、いつかどこかでお届けできたらと思います。
この公演が終わると、また、しばし、通常冬練習に戻ります。暖房無しの部屋でディープパープルのバーンで体を温めます。

2014年、8月のいいだ人形劇フェスタ、ドタバタ生音楽人形活劇「珍くるみ割人形ペガサーカス」初演時の宣伝文句とチラシ。
原作を尊重しつつ…?21世紀、震災後の世相を交え、最新にして最珍ストーリー。組曲版8曲も網羅、さらにバレエ版より多数選曲。オリジナル編曲。
今年は午年、主役はペガサス一家のペガメロス。パロディーにも走ります。

初公演、8月9日(土)11時〜柏心寺(飯田市役所西側)にて「珍くるみ割り人形ペガサーカス」約55分公演。
いいだ人形劇フェスタのワッペン公演でした(700円でワッペン購入、他のワッペン公演も見れます。)

ペガファミリーのママが先頭です。 ペガペガパレード部隊です。
カラフルペガサス隊。先頭はペガボクサー....今年も戦います。 ゼブラペガサス。 ペガサスピンク。
ペガサスイエロー。 ペガサスブラック。 ペガサスブラウン。 ペガペガ救急隊。
ペガペガラインダンス。 傘上競走隊.....vsコブラ 綱渡り隊。 ギターケース隊。パッカぽこウマ改、プロトタイプ。
ペガブーもデビュー。 ぐらんぺがぶー。 皿回しペガブーJr.。 ペガブーファミリーの図。

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